第10期生(カナダ オンタリオ州) 帰国レポート
令和4年8月、入国するために長時間要するなど、思いもかけないトラブルに見舞われながらも、約2年ぶりのカナダ留学に心躍らせ出発した第10期生(カナダ オンタリオ州)が、令和5年7月1日に日本に帰国しました。
令和5年6月27日、研修生は、約11か月の長い間お世話になったホストファミリーとの別れを惜しみながら、帰国前に実施される特別プログラムの会場であるトロント大学に集合しました。久しぶりに次世代の仲間と再会した研修生は、明るい笑顔とともに流暢な英語を使って積極的にコミュニケーションをとるなど、逞しく成長した姿を見せてくれました。
研修生は、Strachan Hallにてリーダーシップ育成に関する特別プログラムを受講しました。カナダについて「留学に来る前」、「初めてに来たとき」、「留学の半分が過ぎたとき」、「そして今現在」と場面を分けながら、どのような思いをもっていたのかを振り返り、グループで意見交換を行いました。研修生からは、「自分が思っていたよりもカナダの方々が優しく、お互いに助け合い、支え合いながら生活していることが分かった」など、多様性の社会の中で支え合うことの大切さを共有していました。そして、今まで学んだことを踏まえながら「How will you be a leader in your future?」というテーマに対して、「どのような人ともコミュニケーションをとる」、「よい雰囲気を作り出す」、「チームの個性を最大限引き出す」など、リーダーに必要な資質・能力について英語を使って積極的に発言をしている姿から、研修生全体が主体的に学び続ける態度や総合的な英語力が十分に育成されていることが伝わりました。
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Strachan Hallでの特別プログラム受講の様子
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令和5年6月28日、研修生は、昨日に続いて特別プログラムを受講しました。
第2日目、研修生は、リーダーは「何を考えるのか」、「何を感じるのか」、「何をしているのか」という視点で協議を行いました。研修生からは、「自分だけでなく、他の人たちにも気を配るようにする」、「責任を感じる」「人々を会話に引き込む」などの意見が出ていました。リーダーという立場に立って考えることを通して、東京グローバル人材育成指針「TARGET4」にもある「異なる文化や習慣、考え方を尊重し、多様な人々との話し合いの中で合意形成を図ったり、協力したりすることができる資質・能力」についての理解を深めている姿がありました。
次に、研修生は、Globalizationの8つの要素について知識を得るとともに、その要素の中で特に大切なものと、有害になり得るものについて協議を行いました。協議を通して「戦争などが起きている現状から、Politics(政治)が大切なのではないか」や「Bitcoin、Investiment、Stock marketなどの投資に関する世界的なお金の動きは、諸国の財政を大きく左右、人々の生活にも大きく影響することから、Finance(財政)が有害になるのではないか」といった意見が出ていました。東京グローバル人材育成指針「TARGET3」にもある「世界の一員としての広い視野」が育成されている姿が見て取れました。
その後、トロント大学の学生と一緒に、トロント大学のキャンパスを散策しました。図書館、美術館、スポーツ施設などをめぐり、1827年に設立され、2023年の世界大学ランキングで第18位のトロント大学の歴史ある生活環境を肌で感じていました。
トロント大学の施設見学後、生徒たちはリーダーシップの大切さが体感できるワークショップ(snake games)を行いました。最初は、先頭の人が目を閉じた状態で、先頭の次の人がリーダーとなって集団をガイドするように牽引しました。二回目は、先頭の人も目を開け、集団で会話を行いながらゲームを行いました。これにより、組織にはリーダーが一人いればよいというわけではなく、組織に属する全員で対話を行いながら組織を動かしていく必要性を体感し、チームワークやコミュニケーションの大切さを学びました。
最後に1日の振り返りとして、「本日の最も印象に残ったこと」「新しく知れたこと」「今後、楽しみなこと」についてグループで共有しました。研修生からは、「キャンパス見学」や「Globalization」についての感想が出ると同時に、「We would like to be leaders to change Japan. First, we will tell people around us what we learned today.」と本日学んだ内容を、具体的に日本に還元する意欲をもっているグループもあり、日本国内の課題についても積極的に解決していこうという姿が見て取れました。
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トロント大学施設見学の様子 |
Strachan Hallにてトロント大学の学生と交流の様子 |
令和5年6月29日、この日も研修生は、昨日と同様に特別プログラムを受講しました。昨日の振り返りから入り、本日はグループに分かれて課題発見・課題解決学習を行いました。
与えられたトラブルの中から課題を見出し、その課題を解決するためにはどのような技術が必要であるかを話し合い、パワーポイントにまとめる活動を行いました。
午後には、まとめたスライドを見せながら、それぞれのグループが英語で発表を行いました。寸劇などを交え表現豊かに発表していました。その姿からも基礎的な英語能力の定着と、相手に伝えやすくするための思考力や表現力が身に付いていることが見て取れました。
夜は、MLIの方々が作成してくれたスライドショーを見て10か月間の成長を振り返りました。地元の学校で披露した騒乱節の動画が流れると、その場の全員で一緒に合唱するなど、異国の地で固く結ばれた絆の一端を見て取ることができました。
スライドショーの後は、この10か月でもらった賞や参加したボランティア活動、自分自身で頑張ったと思うことをみんなの前で一人一人発表しました。それぞれの発表に大きな歓声と拍手を贈り、中には立ちあがって讃え合う姿がありました。人を尊敬すること、人を尊重すること、人を承認すること、受賞した数の多さや成果の大小に関係なく、全ての人を認める言動が取れる姿は、この次世代リーダー育成道場事業の目的である「世界を舞台に活躍する国際感覚豊かでたくましい若者」の姿でした。
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課題解決プレゼンテーションの様子 |
スライドショー鑑賞の様子 |
令和5年6月30日、バスに荷物を運び入れ、一路トロント空港へ向かいました。空港では、お世話になったMLIの方々や、わざわざ駆けつけてくれたホストファミリーと最後のお別れを交わす研修生の姿もありました。「帰りたくない。」という発言もあるなど、10か月過ごしたカナダへの愛着をそれぞれの方法で表現している研修生もいました。
約13時間のフライトでしたが、疲れた様子もなく研修生は元気に日本に帰国しました。カナダと違い日本は湿度が高く、同じくらいの日差しであっても、余計に暑さを感じました。研修生も一様に「暑いな」と言っていました。
その後、荷物を空港で受け取ると、その場で解散式を行いました。東京都教職員研修センターの職員からは、「今日の帰国が留学の最後ではなく、成果発表会や修了式がこの後控えているので、自分たちの成果を東京都に普及させるまで頑張ろう。」と言葉を掛けました。その言葉を、研修生は真剣に聞いていました。 |
羽田空港での解散式の様子 |
第10期生(カナダ ブリティッシュ・コロンビア州) 令和5年6月26日(月)~ 7月1日(土)
帰国前に、集合研修「特別プログラム」をブリティッシュ・コロンビア大学にて実施しました。 特別プログラムでは、「グローバルリーダーシップ」をテーマに、リーダーとして必要な 資質・能力等を身に付けることを目的とし、現地の企業関係者等による講義やプレゼンテーション、 ディスカッション等が全て英語で行われました。また、研修生は、自身の留学生活を振り返り、 留学を通して得た考え方や意識の変容等の成果を共有しました。 そして、「How will you be a leader in your future?」という問いをテーマとして、一人一人が今後の目標 や将来に向けてこれから具体的にどのように行動するのかについて考えをまとめ、英語で発表しました。
【留学生活を振り返り、近い将来について考える】
研修生はブリティッシュ・コロンビア大学にて、リーダーシップ育成に関する特別プログラムとして、まず初日にカナダでの留学生活を「留学に来る前」、「カナダに初めて訪れたとき」、「留学が半分過ぎたとき」、「そして留学を終えようとしている現在」の4点に分けて振り返りを行い、意見交換を行いました。
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カナダでの留学生活の振返り① |
カナダでの留学生活の振返り② |
次に、ブリティッシュ・コロンビア大学の大学生の案内によるキャンパスツアーを行いました。案内をしてくれた大学生からは、大学を選んだ理由や専攻学科、大学の設備や大学生活、将来の目標などについて話を聞くことができました。また、この大学生からの話を通して、研修生たちは海外大学進学も進路選択の一つであると捉え、海外大学進学に向けて意識を高めることができました。
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ブリティッシュ・コロンビア大学キャンパスツアー① |
ブリティッシュ・コロンビア大学キャンパスツアー② |
大学生との交流① |
大学生との交流② |
【グローバルリーダーについて考える】
現地の企業関係者をゲストに招いての講義では、「グローバルリーダーになるために」、「良いグローバルリーダーとは」等をテーマとした講話を聞き、研修生は異なる文化や習慣、考え方を尊重しつつ、多様な文化的背景をもつ人々とどのようにコミュニケーションを取りながら連携するのか、そしてそのために必要な資質や能力について考えを深めました。また、この講演の中では、アメリカのコラムニスト、Marilyn vos Savantの“Being defeated is often a temporary condition. Giving up is what makes it permanent.”(「敗北は多くの場合一時的である。諦めがそれを永久にする。」)という言葉が紹介されました。そして、この言葉を踏まえて、研修生たちはリーダーになると判断が求められる場面が多くあるため、①自信をもって判断すること、②成功体験を積み重ねること、③失敗を失敗として捉えるのではなく次のステップの改善策に変えることの大切さについて考えを深めていました。
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現地企業関係者による講話① |
現地企業関係者による講話② |
【ケーススタディ】
最終日には、ケーススタディとして、「友人と意見が衝突した際の解決法」や「肯定的なフィードバックをするために必要なこと」等をテーマに、特別プログラム期間中に作成した資料を使い、8つのグループに分かれて全員がプレゼンテーションを行いました。スキット(寸劇)交えながら行った、グループプレゼンテーションは、各々の成長ぶりがうかがえる素晴らしい内容でした。このグループ発表を通して、研修生たちの相手を意識したコミュニケーション能力や英語における表現力の向上について見取ることができました。
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ケーススタディの様子① |
ケーススタディの様子② |
ブリティッシュ・コロンビア大学キャンパス内での集合写真 |
全ての留学プログラムを終え、カナダブリティッシュ・コロンビア州に留学していた研修生たちは令和5年7月1日(土)に、無事帰国しました。成田空港で行われた解散式では、引率した東京都教職員研修センターの職員から「これで終わりではなく、留学で得た成果をまとめ、その成果をぜひ広く還元していってほしい。」と伝えました。
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成田空港での解散式の様子 |