次世代リーダー育成道場での留学は、単に語学を習得するということだけが目的ではありません。文化交流を通して国際理解の輪を広げ、自らの在り方・生き方を考え育てていくことも目的の一つとしています。
本研修で、研修生は日本の伝統・文化を体験、鑑賞し、日本人のこれまでの生活の中で、長い年月を経て育まれてきた独自の日本文化の内容を留学先などで紹介できるように理解を深めました。
まず、前半は、研修生が事前に一つ選択した風呂敷、和太鼓又は着付けのグループに分かれ、英語での説明を受けながら体験学習をしました。そこでは、留学先で日本の文化を分かりやすく紹介できるように、英語での指示、助言の仕方についても学びました。
【風呂敷】 ひとつ結び、真結びなどの基本を教わった後、風呂敷ハット、シンプルバック、ティッシュボックスやペットボトルなどの包み方などを学びました。研修生は様々な用途をもつ風呂敷の魅力に終始惹き付けられていました。 |
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【和太鼓】 研修生は、ばちさばきの基本を学び、陣太鼓をまぜての和太鼓に挑戦しました。耳だけでなく、体にも響く和太鼓の魅力を感じることができました。 |
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【着付け】 浴衣の着付けについて、帯などの基本的な結びなどを学びました。浴衣を着ると、自然に姿勢がよくなり、所作も普段と異なると同時に気持ちが引き締まるという感覚に驚いていました。 |
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次に、後半は、芸術鑑賞と隈取体験をしました。芸術鑑賞では、海外で広まった「浮世絵」からジャポニズムまでの流れを歴史的な視点から江戸文化を研究されている方にお話ししていただきました。隈取体験では、「浮世絵」の題材として描かれている歌舞伎の「隈取」について専門家の方々から実演等を通して解説していただきました。
【芸術鑑賞】 「ジャポニズム(日本趣味)からひもとく江戸文化」 研修生は、江戸文化の研究者である森山暁子氏から、ゴッホの「タンギー爺さん」をはじめ西洋と日本を結んだ「浮世絵」を柱として、「ジャポニズム(日本趣味)からひもとく江戸文化 ~ジャポニズムと浮世絵~」というテーマで話を聞きました。葛飾北斎の「富嶽百景」の素晴らしさ、「北斎漫画」から「浮世絵」という日本の伝統文化を掘り下げて理解することができました。 |
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【隈取体験】 浮世絵にも描かれ、現代においても生きている伝統文化の歌舞伎を支える化粧「隈取」について、立花四十郎さんから説明を受けました。独特な化粧である白塗りの意味や、様々な隈取について、ユーモアの混じった分かりやすい説明とともに間近で進められた隈取の化粧に惹きこまれていました。 |
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<研修生の感想>
【風呂敷・和太鼓・着付け体験】
【芸術鑑賞・隈取体験】
研修では「グローバル化と日本~戦後の復興から現在まで~」及び「日本の近現代史を学んで~学びからのさらなる展望~」について学びました。
研修生たちは事前学習として、この時代の事前研修用動画及びNHK高校講座日本史の「占領と国内改革」、「国際社会への復帰と高度経済成長」、「激変する世界と日本」を視聴しました。それらを踏まえて研修生たちは事前課題に取り組み、自分の考えをまとめた上で本研修に参加しました。
当日は3人から4人のグループに分かれ、事前課題について発表し合い、協議しました。また、グループでの協議内容を全体の場で発表し、協議しました。
事前課題1は、「第二次世界大戦後、日本は高度経済成長期を迎え経済大国となり、国内総生産(GDP)は世界第3位(2022年)であるが、様々な課題がある。この日本の現状について、留学した際に出会う人々からどのような『問い』が出されるのか考えてみよう。また、その『問い』に対して、自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化、対立・協調などの観点を踏まえ、どのように説明をするのか、また、その説明に関連した課題(複数も可)とは何か、その解決策を見据えながら考えてみよう。」です。
研修生は、想定される「問い」に対してどのように説明するか、今後さらに追究していかなくてはならない課題(複数も可)とは何かについて、各グループで一つの「問い」に絞って、自分たちの考えを発表し合い、協議しました。
事前課題2は、「『日本国憲法の下、我が国は冷戦下及び冷戦後の国際社会において平和主義を掲げ、どのように世界の諸課題の解決に取り組んできたのか。』を主テーマに、自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化、対立・協調などの観点から、これに関して追究する課題(複数も可)を設定し、将来を展望して追究してみよう。」です。
研修生は、各グループで出た考えを模造紙にまとめ、将来を展望しながら熱心に協議しました。また、前回及び今回の他のグループがまとめた模造紙を見て、研修の成果を共有しました。
さらに、これまでの3回の研修を振り返って、留学時に聞かれるであろう「問い」と、その問いに対する「説明」について、研修生一人一人が深い学びにつなげました。
<研修生の感想>
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今回は、Presentation, Discussion and Debateについての講座で、研修生は各会場4人から5人で14会場に分かれてグループ演習を行いました。
レッスン1のテーマは、日本についてのプレゼンテーションでした。最初に、講師がプレゼンテーションの大切な要素を確認し、ペアワークの練習、その後一人ずつ皆の前で発表を行い、聞き手となった研修生はプレゼンテーションの大切な要素を踏まえて表現することができていたかを評価し合いました。
次に、レッスン2のディスカッションの学習では、Social Mediaについて、肯定的な側面と否定的な側面を整理し話し合いました。講師からは、Discussion Skillsを向上させるために、自分の考えを伝える上で有用な英語表現の指導を受け、実際にペアで意見を述べ合いました。このように、英語で会話する際のポイントを理解した上で、ディスカッションを充実させる演習を行いました。
最後のレッスン3のディベートの学習では、これまでの学習を踏まえ、Bottled water (飲料水のペットボトル)の可否についても討論しました。研修生はディベートとして、賛成と反対の二手に分かれて、実際に討論を行いました。講師から質問をするための表現や背景を説明するための表現、データ(根拠)の示し方など、ディベートを進めるポイントについてアドバイスを受けました。
この研修で、分かりやすい英語を使うことや表現や説明を繰り返し練習することの大切さを学びました。研修生は英語でのスピーチに慣れてきたようで、身振り手振りを加え、堂々とした態度でプレゼンテーションができていました。
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日本の大学に留学している外国人留学生約20人が、国際交流プログラムの講師として来てくださいました。
研修生代表がプログラムへの期待を込めて英語で挨拶し、研修が始まりました。
まず、ファシリテーターから研修を進めていく上での4つルール“Don’t be Shy!” “Speak in English!” “Mistakes are OK!” “Leave No One Behind”の確認がありました。
研修生は、4人グループに分かれ、各グループの外国人留学生リーダー(以下「リーダー」という。)を交えて、自分が関心のある日本や東京の社会問題などに触れながら自己紹介をしました。また、リーダーがPCに示したいくつかのキーワードを見て、そのキーワードが答えになるような質問を考える、という活動をしました。
続いて、サステナビリティ入門講座として、複雑な課題解決に必要な考え方に必要なシステム思考を全体で学びました。問題とする課題はどのような要素から成り立っているのか、それらはどのように繋がっているのか、また、各要素はどのような機能を果たしているのか、など思考の分散と統合を繰り返しながら、各課題について深く考えました。
その後、グループ毎にリーダーから自国の社会課題について説明を受けました。課題には、食料、ジェンダー不平等、海洋プラスティックごみ、水資源、教育あるいは貧困といった深刻な課題が挙げられていました。研修生は、説明を受けた課題の実態を踏まえて、その課題の本質について理解を深め、効果的な解決方法について議論し協議しました。
まとめとして、グループで出した結論を他の一つのグループに向けて発表し、質疑応答の機会をもちました。その後、代表グループが、全体に向けて、オーストラリアのブッシュ・ファイア(森林火災)の実態と解決法について発表を行い、活発な議論を展開しました。
最後に、研修生代表が研修の成果を英語で発表し、感謝を込めて全員で外国人留学生を見送りました。
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一般都民への公開プログラムとして、次世代リーダー育成道場フォーラムが2部構成で実施されました。
第一部では、実業家でシステムエンジニアである村上憲郎氏の「グローバル人材に期待されること~インターナショナル・マルチナショナル・トランスナショナル~」と題した基調講演がありました。
村上氏からは、グローバル人材には、日本人としての誇りをもつとともに「地球人」としての自覚が大切であることを教えていただきました。そのためには多様性を認め差別意識をもたないことが必要であること、また、世界の公用語である英語運用能力を身に付けることが必須であることを学びました。英語運用能力を身に付ける方法については、自ら日本とアメリカなどで学び働いてきた経験を踏まえたお話を聞きました。最後に「我等いつも新鮮な旅人 遠くまで行くんだ!」と、エールをいただきました。
第二部では、最初に、現在研修中である第12期研修生がこれまで受講した事前研修の成果発表を行いました。代表の7名の研修生が、「目標設定のための講義」、「異文化オリエンテーション」、「交流研修・留学の意義」、「先端技術等に関わる方の講演」、「英語に関する学習」、「日本の近現代史」、「ゼミナール研究」に取り組んだ成果を発表しました。
次に、令和5年7月にカナダ留学を終えた第10期修了生が、自身のゼミナール研究で取組んだ、持続可能な食糧確保のための課題とその解決のための取組について、「日本とカナダの視点から見た昆虫食の次世代食料としての実現可能性」と題して、発表をしました。
最後に、4名の修了生が、このプログラムで学んだこと、留学中の苦労や努力、後に続く研修生たちへのアドバイスなどをトークセッションという形式で話しました。社会人、大学生、在学中の高校生、それぞれの立場からの体験を交えたお話しから研修生はたくさんのことを学び留学への決意を新たにしました。
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