8月6日(日)に、第12期研修生にとって初めての事前研修が行われました。講師には、株式会社SKYAH 代表取締役の原ゆかりさんを迎え、「BE THE CHANGE YOU WISH TO SEE IN THE WORLD」と題した講義をしていただきました。
原さんは、高校時代に短期ホームステイ、社会人で長期留学を経験した後、ガーナでNGOを立ち上げ、「MY DREAM プロジェクト」という活動について取り組まれました。「MY DREAMプロジェクト」とは、子どもたちが自分の夢を叶えるための教育や医療を受けられる場を現地の方と協働してつくり、かつ、ローカルビジネスの開発を通じて収益を生み出し、その地域の人々の手によって持続可能な運営を行えるようにした取組です。
原さんからは、このプロジェクトに至るまでの経緯をお話しいただきました。留学を志した学生時代の話に始まり、留学までにどのような葛藤があったのか、また高校や大学でどのような経験を積み重ねてきたのか、長期留学したときにどのような体験をしたのかといったお話は留学を控える研修生にとって、大いに参考になる内容でした。
そして、様々なキャリアを積み重ねてきた上で感じられた、以下の3つのポイントをお話しくださいました。
さらに、課題解決するためには、問題を明確にし、その背景やシナリオを考えることが大事であることや、国際協力などの具体的なキャリアを目指す場合には、先行きの明確な目標とプランニングが役立つと考える一方で、キャリアには山登り型・川下り型など様々なあり方が存在することなどのアドバイスをいただきました。
最後の質疑応答のセッションでは、留学や転職、人脈作りについて、具体的な経験談を交えながら以下の応答がありました。
Q1 課題解決のために大切にしていることは何ですか。
A1 何のためにするのか、どんな人に関わるのか、そのためにも自分の中にある「もやもや」や「わくわく」に耳を傾けること。それにより、課題を発見し、どう克服するのかを考えることです。
Q2 人とコミュニケーションを取る上でのアドバイスをお願いします。
A2 人の話を聞くこと、相手を理解しようとすることが大切です。8割聞く、を心がけています。そのことにより、結果的に相手も私を知ろうとしてくれるようになり、相互的な人間関係ができます。また、「こうしてほしいのに。」だけだと、単にいらいらしたり、文句をいったりだけとなる。「なぜ今腹が立ったのか」「悲しくなったのか」の裏側にある願望や期待を炙り出してみることで自分に何ができるかを考え、不満や不安にとどまることなく、変化を起こす人になってほしいです。
その後のグループワークでは、「次世代リーダー育成道場で成し遂げたいこと」や「次世代リーダー育成道場後これからのアクション」などについて研修生が積極的に協議などをしました。
原さんの講義後、研修生からは次のような意見がありました。
「やること・やらなくてはいけないことが明確になった。」
「夢をもつことや、課題の現状を分析する力を付けることの大切さを学んだ。」
「失敗がありながらも色々なことに挑戦を続けている原さんのお話を聞いて、失敗を気にせずチャレンジしようという勇気をもらえた。」
「状況に応じて様々なことに挑戦する姿勢が、自分の可能性や選択肢を広げるために大切であるということを学んだ。」
「人脈を広げていくことや目標を変化させていくことを、これからの自分の将来にもいかしていきたいと思った。」
「夢に向けて研修生の仲間と高め合える貴重な機会だった。」
Tokyo Global Gateway(TGG)にて、Aコースの第1回英語に関する研修が行われました。研修生は4人~6人のグループに分かれて、TGGのエージェントと自己紹介やゲームを通してグループの結束力を高めた後、「留学体験」、「地球の未来と森の役割を考えよう」、「演劇体験」、「情報やデータをビジュアルで伝えよう」の四つのプログラムに参加しました。
「留学体験」では、オーストラリアのクイーンズランドの学校の先生が研修生に対して授業を行いました。前半では、先生方がオーストラリアの自然や人々の暮らしの様子を紹介しました。後半では、実際に現地で行われている授業を研修生が体験しました。研修生は、数学や物理学で使用する英語表現を用いて、Paper planeを製作し、飛行させ、そしてその距離を測定しました。そして、そのPaper planeで広大なオーストラリアを旅行するとしたら、何回飛ばす行為を繰り返したらいいのかについてグループで協議し、算出するという授業でした。
「地球の未来と森の役割を考えよう」では、研修生が様々な立場から森林破壊の現状を踏まえた解決策について考えました。さらに、パーム油の生産が環境に影響を及ぼしている現状を把握した上で、森に生息する野生動物・生産者としての農民・加工者・販売者・消費者など、関係する様々な立場の視点からグループで解決策を探りました。
「演劇体験」では、自分の考えや気持ちを言葉だけでなく、体で表現するという実践を行いました。幅の狭い橋の真ん中で出会った二人が道を譲るように交渉するスキットを考えて研修生同士で実演しつつ、その場の即興的なやりとりを楽しんでいました。
「情報やデータをビジュアルで伝えよう」では、Infographics (情報を画像で視覚的に表現する方法)の特徴や優れた点を理解した上で、実際に研修生がパソコンを使い、相手により伝わりやすくするために、情報やデータを画像で表現することを学びました。
一日中、英語で考え、英語で発表する経験を通して、研修生から「英語で自分の意見を伝えることに自信をもつことができた。」という声が多く聞かれました。現実にある深刻な問題を考え、論じ合うことは難しいですが、次世代を担うリーダーを目指す研修生として、これから求められていくディベート力、プレゼンテーション能力を磨く研修になりました。
「日本の近現代史」では、研修生一人一人が、留学先国で出会う様々な人に対して互いの立場を尊重しながら、臆することなく自国の説明ができることを目指します。
留学先国であるオーストラリア、ニュージーランドと日本との関係に着目しながら、3回に分けて学んでいきます。今回は、その第1回で、「日本の近現代史学習に当たって~歴史的事象を考察するための観点~」、「近代国家日本の成立~開国から日清・日露戦争まで~」について学びました。
「日本の近現代史」の事前学習として、研修生はこの時代に関するNHK高校講座の動画を視聴し、それを踏まえて複数の資料から事前課題について調べ、自分の考えをまとめました。事前課題1は、現代的な諸課題に関わる日本の近現代の歴史的事象を取り上げ、『自由・制限』、『平等・格差』、『開発・保全』、『統合・分化』、『対立・協調』などの観点から、その歴史的事象と現代社会に共通する課題を追究することでした。事前課題2は、明治時代、我が国は欧米列強の植民地になることなく近代国家としての道を歩んだ。このことについて、留学した際に出会う人々からどのような『問い』が出されると考えるか、また、それをどのように説明するのか、先の5観点などを踏まえて考えるというものでした。
当日、研修生は3人~4人のグループに分かれて、事前課題をもとにグループ内で協議をしました。そして、ポスターセッションのように、他のグループの研修生にもグループ内の意見を発表しました。また、全体の場で発表・協議をしました。
異文化オリエンテーションは、2部形式で実施されました。
第1部ではJOCA(青年海外協力協会)の国際理解プログラムが行われました。これは生活様式や価値観、文化など国民性が全く違う2つの国を想定した、異文化疑似体験のワークショップです。研修生は2つの国に別れ、それぞれの国民になりきってお互いの国を訪問し、その訪問した国での体験を自国民に報告することで、相手の国の文化等を共有しました。最後の振り返りでは、研修生同士で異文化を理解するために必要なことについて意見交換しました。更に、自国の文化を理解してもらうためにどのようなことが必要になるかを考えました。この研修を通して、研修生は、訪問する国の情報を得ることの大切さ、得た情報を基に自分の目で確かめることの大切さ、押し付けにならないように自国の文化を伝えることの大切さなどを学びました。
第2部ではJICA(国際協力機構)の海外協力隊に参加した豊澤彩乃さんから、ウガンダの学校で体育教師として現地の教育改善に取り組んだ経験についての講話を聞きました。女性の地位が低い社会で、いかにして女性のリーダーを育成するのかが活動のテーマでした。講話を終えて、次のようなケーススタディーを行いました。
現地で「この時どうする?」
① 差別的用語を道端の人に言われ続ける場合、どのように対応しますか?
② 分からないことがある場合、どのように対応しますか?
③ 日本では当たり前が、当たり前でない場合、どのように対応しますか?
次世代リーダー育成道場では、事前研究・留学を通して、自分の興味・関心のある分野について、現代社会の課題を探究し、その解決策を考えるゼミナール研究を行います。研修生は、帰国前に研究の成果を報告書にまとめて提出し、主体的に学習する態度と論理的思考力を身に付けていきます。
そのゼミナール研究の第1回を都立中央図書館にて実施しました。前半は、都立中央図書館司書の方から講義を受けました。はじめに「論文とはどういうものか」「テーマの決めるときのポイント」「情報の集め方」「情報を取り扱う際の注意点」「引用の仕方」などを学びました。次に図書館の活用方法や検索の仕方、レファレンスサービスの利用法などについて説明を受けました。続いて、尾木直樹名誉館長から論文を書くことの大切さについてお話を聞きました。
後半は、次回の課題である「研究アウトライン」を作成するための「見通し演習」を行いました。「見通し演習」では、「研究テーマ」「現状」「課題」「調査」「提言の方向性」の五つの段階を踏み、研究のテーマについて論じていく道筋を考えていきます。研修生は班ごとに分かれ、様々な事例から、討議をしました。これから自分の研究テーマの「見通し」を練り上げて、それをさらに膨らませ、肉付けをしていくことで、より具体的で詳細な「研究アウトライン」へと発展させていきます。