体験、鑑賞を通して、研修生が日本の伝統・文化とその価値に対する理解を深められる研修を行いました。
最初に、研修生は風呂敷、折り紙、書道の3コースに分かれて体験をしました。留学先の方々に日本の伝統・文化を英語で分かりやすく紹介し、体験していただけるよう、研修生は英語と日本語を交えながらの指導を受けました。各コースの様子を紹介します。
【風呂敷】ひとつ結び、真結びなどの基本を教わった後、ティッシュボックス包みや、ワインボトルなどを贈り物としたときの瓶の包み方などを学びました。研修生は様々な用途をもつ風呂敷の魅力に終始惹き付けられていました。
【折り紙】「谷折り」や「紙を開く」などの基本動作の英語での表現を教わりながら、飛行機や兜などを作りました。折り紙の歴史について学ぶとともに、一瞬で兜が金魚に変わる面白さも味わいました。
【書道】姿勢や筆の運びなどの基本を学んだ後、「道」、「花」、「天地」など、それぞれ自分の思いを込めて清書をしました。
体験後、研修生は歌舞伎を鑑賞しました。まず、研修生代表が「どんたっぽ」というお囃子に乗って立ち廻り(殺陣)を体験しました。次に、白塗りや隈取といった弁慶の化粧の実演、迫力ある所作や台詞の実演、長唄三味線の実演を鑑賞し、歌舞伎の重要な構成要素の一つ一つを学びました。最後に、演目「五条橋」の上演がありました。牛若丸の華麗な立ち廻りと弁慶の豪快な立ち廻り、長唄三味線の伴奏、鳴り響く拍子木など、研修生は歌舞伎の所作を堪能していました。鑑賞終了後、研修生は、「歌舞伎役者は男性のみと聞いたが女性の役者はいないのか」、「世界に歌舞伎を広めるためにどのようなことがなされているのか」などの質問をしていました。
体験、鑑賞などを通して研修生は、留学先で日本の素晴らしい伝統・文化を多くの方に広く発信していきたいという気持ちを強めていました。
今回の学習範囲は、「第二次世界大戦から現在まで」でした。研修は、研修生が4人程度のグループに分かれて、事前課題について各自で調べてきた内容を発表し合い、各グループの代表が全体に発表する形式で行いました。
まず、第一のテーマである「第二次世界大戦」では、大戦の概要を確認した上で、「日本とオーストラリア・ニュージーランドとの戦い」について活発な協議が行われました。研修生は、過去に日本が、これから留学するオセアニア地域の国と戦ったという事実を重く受け止めていました。
次に、第二のテーマである「日本の戦後の諸改革、冷戦・冷戦後の世界と日本の変容」では、研修生は、戦後から現在に至る国際情勢を理解するとともに、変わりゆく国際情勢の下で日本がどのように変容してきたかを協議しました。非常に難しいテーマでしたが、研修生は事前に調べてきた知識を基に活発に意見を述べ合い、日本の戦後の歩みについて理解を深めていきました。
プレゼンテーション、ディスカッション、ディベートについての授業を実施しました。
プレゼンテーションの授業は、一人一人が英語で「日本の改善すべき点」について、ゆっくり、はっきりとした話し方で発表した後、皆でその発表の仕方について評価し合いました。
ディスカッションでは、「学校では携帯電話を禁止にするべきかどうか」というテーマで、研修生が自分の意見を述べ、ペアで話し合うという演習をしました。多くの研修生は、短時間で相手の意見に対して返答することに苦労していました。
ディベートでは、「動物実験を支持するか否か」をテーマに、授業を行いました。研修生はディベートの前にテーマに関連した語彙を確認し、議論を進めていくのに有用な表現を学習しました。英語でのディベートに慣れていない研修生も多く、英語で論理的に話すことの難しさを実感していました。
ゼミナール研究「アウトライン発表会」を行いました。研修生は、八つの会場に分かれ、各自がゼミナールにおいてこれまで取り組んできた研究テーマのアウトラインについてプレゼンテーションを行いました。
5分間の発表、テーマや課題についての質疑応答を行った後、指導者からの講評がありました。テーマには、「オーストラリアの観光政策」、「日本とオーストラリアにおける海洋プラスチック問題」、「ニュージーランドの野生の動植物の実態」、「食品ロスの問題とその対策」などがありました。
アウトライン発表は、研修生同士がテーマや課題についてアドバイスし合うことで、留学先で各自の研究テーマに関する調査・研究を行うための見通しがより明確となる機会となりました。